ゴン太とドラ子

〜愛の物語〜


 

 

 

ぼくの名前は

ゴン太です。

 

 

ゴン太の

遥かなる旅は

 

階段を登り

家を出て

森の中を

つっきって

 

世界へ

出ていくことから

始まります。

 

 

 

 

んじゃ 〜!

ヨーイ スタート!

 

 

 

 

 

 

一気に森の中から

世界へ飛び出す

つもりでしたが

美味しそうなリンゴが

いっぱいあったので

ついついお腹いっぱい

食べてしまいました。

 

サクサクとした

歯触りがよく

 

なんと!!!

 

12個も食べてしまいました。

 

「まぁ〜世界へ出るのは

 そんなに焦ることもないしな。

 甘いリンゴの世界も

 よ〜く知っておく必要があるな」

 

ゴン太はついでに

もうひとつふたつと頬ばると

急に眠くなって

木の洞で寝ることにしました。 

 

 

 

 

 

 

ゴン太はお腹いっぱい

リンゴを食べたあと

気持ちよく眠りました。

 

しばらくして起きたゴン太は

眠っている間に少し太り

 

 

「あててて〜て〜っ!!」

 この木の穴から

 出れないよ〜」

 

 

ありゃりゃ・・・

出発点からこれじゃあ・・・

 

ゴン太は

これからどうなるのでしょう!!

 

ゴン太は

お腹が空くまで

また木の中で

眠ることにしました。

 

 

 

 

 

 

これはゴン太の夢の中のお話です

 

 

夢の中でゴン太は

水族館の館長さんに

なっていました。

 

イルカくんを

トレーニングして

芸を教えて

お客さんの拍手を

一杯もらおうと

そりゃもう〜

夢中にガンバル

ゴン太です。

 

イルカさんと

言葉はしっかり

通じるのです!

 

でも・・・

通じることと

考えていることを

やってくれることは

べつなのです。

 

イルカさんは

気まぐれで

ゴン太が10言っても

2つくらいしか

やってくれません。

 

イルカさんは

悪意もイジワルも

ありません。

 

ビョビョーンと

口笛吹いて遊んでばかりの

イルカさんなのです。

 

 

 

 

 

 

これはゴン太の夢の中のお話です

 

 

朝から晩まで

イルカさんに

芸を教えていても

なかなか

成果があがらないので

ゴン太は

疲れてしまいました。

 

 

 

「あ〜あ あ〜あ

 ボクだけがんばっても

 イルカさんも

 がんばってくれなくっちゃ

 みんなに喜んでもらえないよ」

 

「キューキュー」

 

「あ〜あ あ〜あ

 イルカさんわかったよ。

 勝手にビヨヨーンって

 泳いでいればいいよ。

 もうイルカさんのことなんか

 しらないもん。

 ボクはここから

 いなくなるかるね」

 

「キューキュー」

 

 

 

ゴン太は 

捨てゼリフを叫び

あたたかいミルクを

いっぱい飲んで

夢の世界から

脱出することにしました。

 

 

・・・メデタシ

   めでたし

 

   メデタイのかな!?

 

 

 

 

 

 

 

夢の中から

ポ〜ント飛びだすと

ここは

見渡す限りの

牧場です。

 

ミルクたっぷりの

牛さんもいます。

 

すぐ食欲が

ムズムズするゴン太は

大好きなミルクが

生で飲めるかなと

ドキドキドキドキ

 

「柵を越えて

 牛さんに

 とびついて

 ゴクゴク〜ッて

 ミルクを飲んじゃお〜っと!」

 

なにかひとつ考えると

それしかできないゴン太は

ヨッコラショッと

柵を越えて牧場の中へ

 

 

 

 

 

 

「おりょりょ〜っ!!

 ど・・・どうして

 こんな所にいるんだろう」

 

 

柵を越えて

牛のミルクを

飲みにいくはずが・・・

なんと!!

ゴン太は橋の欄干に

へばりついています。

 

 

「危ないよォ・・・

 落っこちたら・・・

 泳げないしィ~」

 

ぎが得意ではないゴン太は

川に落ちないように必死です。

 

 

ワ〜ッ!!!

 落ちる~っ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ドッポーンと

水中へ落下する

大ピンチの

ゴン太でしたが

本当に運よく

下を一艘のゴンドラが

通りました。

 

「アハハハハハ

 着地成功!」

 

ここはヴェニスを思わせるような

うねうねとまがりくねった水路。

 

ゴン太は波にゆられて

ついつい気分よく

カンツォーネも口づさみます。

 

「オ〜ソ〜レミオ〜♫

 〜ソ〜レミオ〜♫

 

ゴン太は最高の気分です。

 

 

 

 

 

 

ゴンドラに乗って

水の都ヴェニスを

一周した気分のゴン太。

 

「いっぱい歌って

 楽しかったぁ♫」

 

ゴン太が船を降りた真ん前には

ゴン太の大好きなチーズ屋さん。

 

「わぁ〜い!!!

 美味しそうなチーズ!!!」

 

ゴン太と同じくらいの大きさの

穴ボコチーズにかぶりつくゴン太。

大好きなミルクといっしょに

パクパク ゴックン

 

 

ゴン太はいつも

食べているのです。

 

 

 

 

 

 

食後いかに満腹で

満足していても

木の洞穴に入って

眠ることは

もうしません。

 

1度失敗したら

2度と同じ失敗はしない・・・!

というのがゴン太の哲学です。

 

・・・まぁ〜それはどうかな・・・。

 

 

眠気を吹き飛ばすために

ゴン太は走りました。

走って走って

野原を突っ切ると

ひまわりがたくさん咲いている

素敵な場所へつきました。

 

たくさんのひまわりを

眺めまわそうと

一番背の高いひまわりに

ヨイショッと登ると

 

「アハ〜ッ!!」

 

ゴン太は

とても素敵なもの見つけました!

 

ゴン太はひまわりより

もっともっと素晴らしいものを

見つけました!!

 

 

 

 

 

 

ひまわりの

テッペンから見えたのは

とってもかわいい・・

 

そうなんです!

 

それはそれは愛らしい

ゴン太の好きなタイプの

女の子のクマでした。

 

ゴン太は

心のすべてが

奪われてしまいました。

 

も〜フラフラで

自分がどこにいるのか

忘れてしまうほどでした。

 

 

当然ゴン太は

ひまわりのテッペンから

ドスーンと

落ちてしまいました。

 

 

 

 

 

 

「アハッ・・・デヘッ・・・

 こんにちはァ・・・

 ボ・・・ボクは

 ゴン太です!

 キ・・・キミの名は!?

 あの・・・あの・・・

 う〜んと・・・

 う〜んとさぁ・・・」

 

ゴン太は照れながら

まるで踊るように

女の子のクマに話しかけました。

 

 

女の子のクマは

落ち着きのないゴン太を

用心深く警戒しながらも

 

「私の名前はドラ子です」

 

と女の子のクマは呟きました。

 

「ド・・・ドラ子ォ〜!?」

 

 

 

 

 

 

はぁ~!!

クマの少年とクマの少女が出会い・・・

そして

甘くて切ない大恋愛が

ドラマチックに大展開かなぁ〜!?

 

という一番いいところですが

ここで休憩タイム!

まぁ〜CMタイムかな。

 

ゴン太は

大好きなミルクを

飲んでいます。

 

あなたも好きなものを

ゴクンと飲んでね!

  

じゃあ〜!!!

休憩タイムの後に展開する

ゴン太とドラ子を

みんなで応援してね!

 

 

 

 

 

ゴン太とドラ子の仲は

それはそれは

ハッピーに素敵に

展開しました。

 

ゴン太はまるで

雲に乗っているような

そんな気分の毎日です。

 

朝起きれば

最愛のドラ子がそばにいて

夜、目を閉じるまで

ずっとそばにいてくれます。

 

ゴン太とドラ子は

いつも

語り合い

助け合い

あっという間に

時と日々が過ぎていく・・・

まさに

メリーゴーランドのような

豊かな時間が

毎日毎日

流れていきました。

 

 

 

 

 

 

ゴン太とドラ子は

よく旅もしました。

 

春はいろいろな種類の桜のお花見

夏はドーンという音の打ち上げ花火

秋は寄り添いながら見つめる紅葉

冬は大ハシャギで滑るスキーと雪合戦

 

季節それぞれの

風といっしょに

タップリ遊び

寝っころがる・・・

 

そんな充足感を

いったい

何回味わったことでしょう・・・

 

「ウオォ〜!!!

 楽しくて

 タマラ〜ン」

 

 

 

 

 

 

天使の懐に

抱かれたような

かぎりなき

幸福感の連続・・・

 

ゴン太とドラ子にとって

毎日が喜びの連続であった・・・

ことは間違いありません。

 

実際それが

何日

何ヶ月

何年続いたのか

ゴン太とドラ子にも

わかりません。

 

天使のヒザの上では

時間がとまります。

 

きっと

ゴン太とドラ子にとって

何万年

何億年という

幸福の時代だったのでしょう。

 

 

 

 

 

 

ゴン太とドラ子は

冬も大好き。

 

雪が降りはじめると

嬉しくて大はしゃぎ。

 

ゴン太とドラ子は

ずっと一日中

 

キャッキャッ

キャッキャッ

 

雪の中でたわむれ

雪ダルマをつくります。

 

一日かけて

ゴン太とドラ子の

手と力をあわせて

素敵な雪ダルマを

いくつもいくつも

作りました。

 

出来た作品に

ジーッと手をあてて

その感触を味わうのも

とても嬉しい

ゴン太とドラ子の

心かよう時間です。

 

 

 

 

 

雪だるまで遊んだ

冬は過ぎ去り

何度目かの冬には

ゴン太とドラ子の間に

女の子が生まれました。

 

名前はって!?

 

もちろん

ゴン太とドラ子の名前からとって

 

「ドラゴン」

 

女の子なのに

男の子みたいな名前です。

それにクマなのに龍みたい。

 

でも、この名前には

強くたくましく優しく

空を翔けるように

素敵な成長をして欲しいという

ゴン太とドラ子の願いがありました。

 

 

 

 

 

 

ゴン太にとって

おうちの階段を

飛び出してから

今日まで

なにひとつ

不安も不満もない

満足の2文字が

続いてきました。

 

まァ〜あると言えば

夢の中で

牛乳をねらったら

橋の欄干から

海へ落っこちそうになった・・・

あの一瞬・・・

もう記憶も

定かではありません

あの不思議な

感覚だけでしょうネ。

 

やや・・・

不安を感じた時でも・・・

素敵なパートナー・ドラ子と

幸福な時間を待ち続け

美味しいものを

うなるほど食べ

生き♡生きと生活が出来て

なんの文句もない人生です。

 

 

 

 

 

 

冬・・・

雪の中をころげまわり

ドラ子と夢中で

雪ダルマをつくった日々が

想い出されます。

 

寒さなんて

なにひとつ感じない。

 

雪の白さと冷たさが

心地よかっただけの

あの日々を・・・

 

今、赤く燃える暖炉の脇で

クリスマスツリーを見つめて

ボンヤリしている自分って

なんなのだろう・・・

 

この部屋は暑いほど暖かく

美味しい食べ物もたくさんあり

クリスマスツリーも

華やかに輝いています。

 

もちろん

ゴン太にとって

とても楽しい時間です。

でも・・・

いつもと違うゴン太がいます。

 

思いついたらどこにでも飛んでいく

落ち着きのない行動派から

落ち着いてものを考える

おとなしいゴン太へと

少しずつ変わっていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴン太とドラ子の日々は

朝陽が夕陽に変わるように

ギラギラ激しいた太陽から

ユラユラ優しい太陽へと

少しずつ変化していきました。

 

 

幸福を幸福と感じず

キャッキャッと騒いで

元気に一日が暮れる時代を

誰もなんとも思わないで

過ごしてしまいます。

 

もちろん

それでいいのです。

 

でも

夕陽を見つめながら

一刻一瞬を味わうような

別の幸福感もあるのです。

 

それは

キャッキャッと騒いでいた時には

気がつかなかった楽しみでしょう。

 

加えて体を寄せて

一緒にそれを楽しんでくれる

パートナーがいれば

もうなにもいらないですね。

 

ゴン太とドラ子のようにね。

 

ホラホラ♡

 

 

 

 

 

夕陽をみつめ

往来をみつめ

もうあまり

自分たちでは

歩いたり

動いたり

しなくなっても・・・

 

ゆっくりと

風の流れを見たり・・・

 

意識が走っていく姿を

追いかけて

ふと目をみつめあって

ほほ笑んだり・・・

 

 

ゴン太とドラ子の魂は

ますます丸くすべすべと

していきます。

 

ベンチに座っている

長くて短い時間・・・

 

その楽しさが

なにも言わなくても

ゴン太とドラ子には

わかりあえるのでしょう。

 

 

 

 

 

風にふかれて舞う

美しい花や葉の色と流れ。

 

その歌うようなリズムを

ゴン太とドラ子は

いつもいっしょに

楽しんできました。

 

となりでいっしょに

肩を並べて

話に夢中になるゴン太。

ゴン太の話を

笑いながら

聞いていたドラ子。

 

 

ゴン太とドラ子が

丸い目でみつめているのは

遠く果しない未来なのか

それとも遠い過去なのか

 

それはゴン太とドラ子にも

わかりません。

 

きっとそのいずれであり

優しさと平安に

包まれていることでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

C'EST LA VIE 

 

 それが人生というお話

 

 

 

 


絵本「ゴン太とドラ子 〜愛の物語〜」

お読み下さいまして

ありがとうございました。

 

お読みくださったあなたに

少しでも

勇気希望

お届けできたら

嬉しいかぎりです。

  

 

 

  ~感謝を込めて~

 未来メディアアーティストMitsue