遥かなる北極極楽ワールド


北極に住むアザラシのパコンの物語

 

パコンは日々の中で

なにを見つめ

なにを感じているのでしょう。

 

「遥かなる北極極楽ワールド」の

スタートでしゅ〜パチパチパチ拍手

 

 

ーーー

 

 

おんやァ!?

 

いらっしゃーい!!

 

遥か遠い遠い所を

お越しやして。

 

んじゃあ・・・

ボクの住んでいる

とても楽しい世界を

タップリご紹介するね。

 

寒そうに見えるけど

住めば都で

ボクにとっては

快適で心地いい所なんだよ。

 

氷の上に

日の出から日の入りまで

ズーッとグータラグータラ

寝転んでいると

もう・・・とっても

気持ちいいんだ。

 

背中いっぱいに

お陽さまの光が

ポカポカやってきてさぁ。

足の先なんか

もう気持ちよくって

クニュッなんて曲がっちゃうんだ。

 

 

あ〜〜〜あ

気持ちいい〜〜!!!

 

 

パコンは同じポーズに飽きると

ヨイショっと

180度ひっくり返ったりするんです。

マンネリ感に

耐えられなかったりするとね。

ついでに氷の端っこの尖った所で

スリスリなんかすると

ん〜ん

気持ちよくってぇ

タマランタマラ〜ン。

ついつい足の先のヒレが

パカっと開いちゃうパコン。

 

「ボクの足先は

 喜びで丸くなるときと

 全開するするときと

 2種類あるんだ」

 

パコンは斜め座りも大好き。

 

「ウホホ〜イ!!

 この横流れスタイルも

 いいもんだなァ〜ッ」

 

1日に数回は

前後天地ひっくり返って

満遍なく日向ぼっこをしています。

パコンのその姿は

全体のバランスがキチッとした

調和のとれた美しい姿です。

 

さぁ〜ってと

起きあがって回転するんだよォ〜〜!!!

オ・・・オ・・・オ

見てるね、キミ!

見られると

起きあがらなかったり

するかもしれないよォ。

さ・・・さ・・・

ど〜する!?

右かな!?

左かな!?

あててごら〜ん!!!

 

 

ドーン!!!!!!

 

 

仰向けになっちゃったもんね。

予想できなかったポーズでしょ!?

ボクの勝ちだね!

ボクも考えなしに

こんなポーズに

なっちゃったんだけどさァ。

力入りすぎて

コロッと仰向けになっちゃった。

これはこれで

すっごく気持ちいいんだぁ。

 

 

フーッだめだ・・・

つかれたデス・・・

 

 

たまにさぁ〜お客さんが来ると

なにやら

サービス精神旺盛になっちゃって

もう〜いろいろやって

喜んでもらおうと思っちゃうんだ。

いつもはのんびり

喰っちゃ寝てるだけだから

いきなり運動すると

つかれちゃうんだよね。

眠たくなってきた・・・

 

ズンゴ〜ッ!!

グゥグゥグゥ〜!!

 

ズーッと眠りこけたいたと

思ってんでしょ!

違うの!!

哲学してるんだ。

そりゃ・・・

ちょっと・・・

3時間くらいは寝てたよ。

でも大半は・・・

宇宙と生命と

時間と空間の存在・・・

言ってみれば

意識の流れみたいなことを

考えていたんだもんねーッ。

口ベタだから上手に言えないけど

まっ・・・ひとことで言えば

 

僕たちのいるこの世界は極楽

 

つうことかな。

 

哲学すると

眉毛が点になっちゃうんだ。

 

おっおっお・・・

お・・・

お・・・

頭の中心に哲学が

異常集結しはじめたぞォ〜。

 

いくよォ〜!

いくよォ〜!

 

きたきたきた〜〜!!

 

研ぎ澄まされた

熱い想いが

もう顔面いっぱいに

集まってきたぞォ〜〜〜!!!!!

 

 

 

アンゴーッ!

 

 

 

北極の見渡す限りの

氷の原っぱの上で

叫びながら

踊りまくるパコン。

 

パコンの鼻の穴と口を通して

燃えたぎる哲学の魂が

抜けるような青空へ

吠え声となって

飛び散っていった。

 

内容的には

「腹へったぁ〜ッ」とか

「ボクはいい男だなぁ〜ッ」

みたいな

俗っぽいメッセージも

混じっていたけどね。

 

 

その大きな叫びのあと

大きな虚脱感と幸福感が

ヒタヒタヒターッと

ボクを包み込んだ。

風は爽やかに

天空を流れ

雲は糸のように

四方へ飛び去っていく・・・んだ。

 

いいでしょォ!?

 

タマラナ〜イ!!

 

こういう場所で

一生ゴロゴロ暮らせるのなら

何回転生しても

ここにいたいなぁ。

 

ボクはね・・・

本当にここは

「幸福」という二文字しか

見えないんだ。

 

勿論、幸福を満喫しているのは

ボクだけじゃないよ。

白い氷原の遥か下・・・

氷山の下の

澄み切った心地よい

冷たさの海の中にも

シャーワセものがいるんだよ。

 

氷山の一角って言うでしょ!?

氷の上に出ている部分の何倍も

水の中に沈んでいる

氷の塊があるって

聞いたことあるでしょ!?

 

そのあたりを

少し探検してみよう!!

ホラッホラッ

一瞬チラッと見えたでしょ!

 

えっ・・・なになに!?

 

見えないって!?

 

氷の柱の下に

ホラホラ

いるじゃない。

美しい青の柱のところに

いるんだよ。

しっかり見て!!!

 

ピャポーッ♬

 

ホラッ!!!

水中に入ると

こ〜んな大きなイルカくんが

ごく北の冷たいプールで

爽やかに泳いでいるんだよ♬

 

カルフォルニアや

日本の和歌山沖で

スイスイ泳いでいるイルカくんと

くらべてごらん。

みんなかなりコロッと

肥っているでしょ。

ここでは

肥っていないと寒しい

エネルギーも

不足しちゃうんだよォ〜ッ!

 

ザバーン

 

再び水の上へ上昇だァ。

出てみよう!!!

水面から顔を出してさァ。

 

こうやって

水面から眺めると

ホーントウに美しい

白と青の世界だなぁ。

青が染み渡る氷の色。

紺碧の空の

深い深い蒼のすごさ。

 

ピ〜ヒョロロ〜ッ

 

紺碧の空を

白く美しい鳥が

高く高く高く

舞っているよ。

カモメさんの一族かな・・・

 

ホラ!!!

 

翼の下に

澄みきった空気を

いっぱいに包み込み

そりゃ〜もう〜

得意満面で翔んでいるなぁ。

 

ピ〜ヒョロロ〜ッ

スイ〜ッスイ〜ッ

 

てね。

 

鳥の一番美しい姿だね。

見てくれたァ・・・

ボクの世界。

ここは

氷と海と空だけの世界。

それ以外は

なぁ〜んにもないけど

実は一番豊かな

世界なんだよね。

 

時間も空間も

タ〜ップリあって

どんな風にでも

思う通りに使える

夢の世界なんだよォ〜。

 

レストランも

コンサート会場も

スポーツジムも

ホテルも

なにひとつないように見えて

実は全部揃っているんだよ。

 

いつでもどこでも

思ったことが

叶う場所だって

もうわかるでしょ。

 

だからボクは

ズ〜〜〜ッ

ここにいるんだ。

ズ〜〜〜ッ

ズ〜〜〜ッ

ここにね。

 

ホラ!!!

 

あの子も

そのことがわかってるんだ。

シロクマさんもネ。

ほんの数分前までは

雪原に座って

遥か水平線の向こうに

想いを馳せていたんだよ。

彼女はここにいながら

世界の果て

宇宙の果てまで

心と魂で旅することが

出来るんだ。

もちろん!!

彼女の頭の中では

時間旅行だって

スグ出来るんだよ。

 

ドカーッと座りながら

5000年前から2000年先へと

楽しい夢旅行をするのが

毎日の午前中の

素敵な日課なのさ。

 

ここにいる奴らは

みんなそうなんだよォ。

 

午後はすこ〜しだけ

現実の時間に

戻る時もあるんだァ。

 

ホラッ!!!

 

あそこにいる

メスの熊ふたり

楽しそうだよね。

 

「あらーっ

 どちらへお出かけ!?」

 

「あらまァ〜!!

 今お食事してきたところなの。

 ここから10kmぐらい先に

 新鮮な鮭がいっぱいあるわよ。

 とってもや美味しかったわ」

 

「んまぁ〜!!

 鮭も最近はお高いんでしょ!?」

 

「そうなのよォ〜!!

 世界的に不景気ざましょ。

 鮭もなかなか成長しなくて

 捕まえるのが

 大変になってきたわよねぇ」

 

「ほんとにね〜・・・

 少しお時間あったら

 カラオケで5曲ぐらい歌わない!?」

 

そんな会話もしてるんだァ。 

 

今じゃあ珍しいほど

古典的なことかも

知れないけど・・・

子供の教育は

親がすることになっているの

ここではネ!

 

学校も塾も家庭教師もいない。

両親がスゴ〜ク

自信を持って生きていく

技のすべてを

短期間に子供たちへ

伝えるんだよ。

何百年、何千年も変化ない

簡単なマニュアルだけだけどね。

 

獲物の獲り方

敵との戦い方

お家の作り方

そう・・・もちろん

自分が必要とする以上の

エサを獲っちゃいけないとかね。

 

みんな最高の生き方と

やってはならないことを

伝えていくんだよ

 

あの三頭の親子グマも

今日のトレーニングを終えて

満足そうに帰っていくでしょ。

 

3頭の親子グマの

後姿の佇まいにも

満足感が現れているでしょ。

 

プリプリ

フリフリ

 

ってさァ。

 

「母ちゃん!!

 明日はもっと違う魚の

 獲り方を教えてよォ。

 もうボク

 鮭を獲るのは

 出来るからさァ・・・」

 

「まだまだ・・・

 練習をしなくては

 ダメよォ。

 確かに随分と

 うまくはなったわよォ。

 でもね

 鮭にも色々な性格があるから

 もう少し腕を

 磨かなくっちゃ・・・ネ」

 

「うん・・・わかったァ。

 じゃあ明日も鮭獲りを

 しっかりやろうねぇ」

 

3頭の進む未来は

勇気と希望に満ちています。

 

アレ〜ッ!!

 

珍しいなぁ

何年ぶりかなぁ

人間が

やってきたみたいだァ!?

 

たぶん・・・

あの後ろにいるのが

むか〜しさぁ

パパから聞いた

人間っていう

ヤツじゃないのかなァ。

けっこう凶悪で

メチャクチャ

することもある

怖いヤツらしいから

隠れてよっと!

 

話によれば

自分のことしか考えない

嫌な連中らしいし・・・

ボクの親戚も何匹か

突然

捕まったっていうしネ。

そのくせ口では

環境を大事にとか

動物を大切にとか

調子いいこと

言っているらしいんだァ。

 

人間って

ひどいヤツらだねぇ・・・

犬たちに

そりをひかせてさぁ・・・

我がもの顔で

走っていくよォ。

 

よかったなァ・・・ボク

犬に生まれなくってさァ。

 

まぁ〜彼らには

それなりの楽しみも

あるんだろうけどネ。

でも思うんだ・・・

ああやって犬を支配し

管理して生きている人間って

結局ダメな奴らだって!

 

ここでは人間だけじゃ

生活できないんだもんね。

自分の手で生活し

誰にも頼らず

自分の夢を達成すること。

時間と空間を

考える時間すらもてない

貧しい生物でしょ・・・

人間てさァ。

 

まぁここにいてもいいけど

これ以上自然を壊したり

ほかの生き物に

迷惑かけないでほしいなァ。

 

 

「うん・・・パコン・・・

 ボクもそう思うなァ」

 

 

人間を乗せて

ソリを引っ張る犬たちを

遠くに見つめながら

ホッキョクギツネの子供も

パコンと同じことを

考えています。

 

「ボクは絶対に

 あの犬たちのようには

 ならない!!

 紐や鎖に繋がれて

 走っていくなんて

 真っ平ごめんさァ!!

 この白い氷原を

 どこまでも自分一人で

 走るんだァ!!

 生きているって

 そういうことの

 楽しさなんだァ!!!」

 

厳しい環境と引き換えに

自由であること

生き方の奔放さを

幼いながら

本能的に掴んでいる

ホッキョグギツネの

チビッコなのです。

 

時に吹く風は寒く

肌を切り刻むような時も

あります。

ホッキョクギツネの

口の周りのヨダレが

一瞬にして

氷ってしまうくらい

寒さは厳しいのです

 

「でも・・・ボクは

 この厳しい寒さの中で

 決して

 犬のようにはならないよ。

 いくら美味しいご飯が

 保証されていても

 忠実だけがとりえの

 犬の生き方だけは

 決してしない!!

 知恵と度胸で生きるんだ。

 ボクたちホッキョクギツネは

 悪知恵だってもってるもん。

 キツネじゃないとしたら

 もっともっと大きくて

 強いオオカミに

 なりたいなァ

 たくましく力強い

 オオカミになって

 生きていけたらいいかもなァ」

 

思えば叶う!

 

チビッコのホッキョクギツネが

一瞬にして

ホッキョクオオカミに

変身できるのが

この地の魅力のひとつなのです。

本当に素晴らしい!!

 

一瞬にして

ホッキョクオオカミになった

チビッコのホッキョクギツネ。

 

時間が無限に流れる

ここ「北極極楽パラダイス」では

そんなことが

あちらこちらで

起きてるのです。

 

翔びたいと思えば

イルカが鳥になれたりします。

さっきの鳥は

実はおデブさんのイルカが

水中から一瞬にして

天空に舞った時の

姿だったのかもしれません。

 

ここはワンダーランド!!

 

 

ホッキョクギツネが

ホッキョクオオカミに変わる。

 

えへへっ!

 

ここでは誰もが何にでも

なれるんだよォ。

心に誓えば

心に思い描く・・・という

単純な行為だけで

夢が実現する。

 

時間を飛び越すことも

簡単にできる。

空間を歪ませて

世界の果てまで

行って帰って自由自在。

 

ボクなんて

まだ幼いし未

熟だけど・・・

それでも何回か

遊んでいるよ。

 

今大きな時の中で

考えているのは

ボクとキミの

キラキラと輝く

未来の姿だよ。

 

そんなことして

遊んでいるとさァ。

1日なんて

アッという間に

過ぎてしまうんだ。

 

夕焼けの空が

オレンジから朱赤になり

真っ赤になってピンクになり

そして紫へと

次々に変化していく。

激しく色を変えて

夜がやってくると

このワンダーランド全体が

華やかに燃えて色づいて・・・

そしてブルーとグリーンの

夜の世界へと

入っていくんだよ。

 

ボクはここにいて

本当にいいよネって

思うんだ。

何度も言うけどネ。

夜はもうひとつ

おまけの楽しみも

加わるんだからさァ。

 

ここで見れるオーロラは

それはそれは素晴らしい

天空からの贈物。

一年のうちで数度しかないけれど

ゆれる虹のカーテンが

一晩中ボクを

恍惚の想いに

させてくれるんだよォ。

 

空一杯の光の渦

ユラユラと漂う

光の大交響曲(シンフォニー)

一度でいいから

ここへきてごらん。

 

キミの一番好きな人と一緒に!!

 

毛布をかぶって

雪原にふたりで寝転んで

この世界を

味わって欲しいと思うねっ。

 

キミとキミの愛する人にとって

とても素敵な贈物が

ここにこうしてあるのだからさァ。

 

夜から朝まで

ボクは哲学しています。

一見眠っているように見えるけど

違うんだよ。

頭の中は哲学でいっぱいなんだ。

 

もうわかったと思うけど

ここには幸福のすべてがあるんだ。

キミもキミの大事な人も

パートナーも

お父さんもお母さんも

みんなみんな

一生懸命に生きているし

充分に幸せなのは

知っているよ。

でも人間が一生かけて求め

追い続けている夢や幸せが

ここには最初から

ぜ〜んぶあるんだよ!!

 

贈物=ギフトの

満たされた場所なんだ。

 

ボクは眠っている

夢の中でも

すっごく幸せだし

起きている

氷と海と空の空間でも

すっごく幸せだよ。

寒さなんて

それに較べりゃ

たいしたことないさ。

 

もう少し

哲学続けるからね。

 

寝てないよ

本当に。

 

 

 

 

(おわり)


「遥かなる北極極楽ワールで」を

お読み下さいまして

ありがとうございました。

 

お読みくださったあなたに

少しでも

勇気希望

お届けできたら嬉しいかぎりです。

 

 

 

  ~感謝を込めて~

 

未来メディアアーティストMitsue