写真詩

あなたの隣にわたしがいて

わたしの隣にあなたがいた

 

いつもいつも

 

楽しく美しい暮らしが

ふたりを包んでいた

 

あなたがいなくなって

気づいたことのひとつです

 

 

 

 

 

 

あなたの前にいるわたしは

無邪気そのものだった

 

わたしがわたしでいるとか

わたしらしいとか

そんなこと考えたことも

思ったこともなかった

 

心が静かに眠れぬ夜でも

不安も怖さもなかった

 

あなたの優しさの裏にある辛さは

わたしには見えなかった

それだけあなたはわたしを

深く抱きしめ

守り続けていてくれた

 

あなたの涙に

触れなかったわたしを

許してください

 

今日はバスの一番前に座った

お昼に食べたパスタが美味しかった

帰りの電車は少し賑やかだった

 

いつものバス

いつものお店

いつもの電車

 

 いつも家に帰れば

すぐにおしゃべり

いつも今日の出来事を

すぐに語り合う

 

ただいま

 

いつもは

独り言になった

電気がついている家に

帰ることは出来なくなりました

遠隔操作で帰る前に

電気をつけておくことも

今の時代はできるそうです

 

電気がついていたら

わたしは喜ぶでしょうか

今よりもっと

寂しくなるでしょう

あなたを探し続け疲れ果て

今日という日を失います

 

暗い家に明日も帰ります

あなたの前で無邪気にいた

わたし自身を失いました

書いた詩をあなたに見せ

書いた手紙をあなたに見せ

描いた絵をあなたに見せ

撮った写真をあなたに見せ

喜びそうなものをあなたに見せ

あなたの口から飛び出す

言葉がご馳走だった

 

すべてはどこにいったのか

探すことも諦めることもしないまま

なにも出来ないままでいる

 

あなたに逢いたいというよりは

同じことではあるけれど

あなたと話したい

あなたがいなくなって

出来ないことが

たくさん増えた

 

いっしょにご飯を食べること

いっしょに写真を撮ること

いっしょに映画を観ること

いっしょに桜を観ること

いっしょに笑いあうこと

 

いっしょが消えて

ひとりのいま

出来ることは

ただひとつ

 

あなたは

わたしといっしょで

幸せでしたか

 

いまだに答えは

聞こえない

自転車で走るわたしの前を

男の人が自転車で走っている

 

話し声が聞き取りづらく

聞こえないよと

大きい声で叫ぶ

 

聞こえないはず

その男の人は

あなたではない

お部屋いっぱいに飾ってある

あなたとのツーショット写真を見て

友人が言っていた

 

「幸せそうだね」

「どうして?」

「どの写真も笑っているもの」

 

不思議な言葉だった

 

 いつもいっしょにいるのが幸せだった

ふたりはいつも無邪気だった

 

ある日あなたが言った

 

「この先またここでふたりで撮ることは

 出来ないかもしれないからな」

 

右から左に流れていた言葉だった

無視していたわけではなく

またあると思っていた

 

再びふたりで撮ることは出来ない場所が

地球上にたくさんある

 

遠くから見る我家に

電気がついている

 

帰ってきている

帰ってきたんだ

 

灯のついている我家

温かくなるこころ

 

ただいま

 

静まり返る我家

電気をつけたまま外に出た

 

あなたはいない

 

わたしは

多分

あなたと暮らした街から

離れたいのだと思います

 

あなたと暮らしたことのない

あなたと旅をしたことのない

そんなところに

行きたいのだと思います

 

でもわかっています

 

たとえ

火星に行っても

水星に行っても

そこであなたの姿を

探し続けるでしょう

 

 

なにも考えぬまま

街の風と抱擁し

目的地のないまま

あなたと歩く

 

すれ違う人の顔はわからないまま

その人の体温に幸せを感じていた

 

信号が青でも赤でもいいし

横断歩道があってもなくてもいい

道に残る透明な足跡に幸せを感じていた

 

あなたが右にいても左にいても

わたしは幸せだったあの頃あの街で

 

ドラッグストアで日用品をカゴに入れた

ひとつしかないレジ並びの通路

ポイントが10倍の日は

あの人もこの人もカゴの中は盛り沢山

そういうわたしも少なくないカゴの中

ひょっこり男の人の手が

わたしの左の棚にある品物を取った

目薬だった

男の人が手にした品物に釘付けになり

賑わう店内の声は何処へと消えた

あの人が使っていた目薬

思い出すことのなかった目薬

こんなカタチでも

あの人の存在の愛おしさは

容赦なく訪れる

家に帰ったら目薬をつけよう

あの人のいない寂しさをごまかすために

 

どこかに行きたいなんて

無理やり自分を盛り上げているだけ

誰かが山へ行った話を聞いても

誰かが海へ行った写真を見ても

そこに立つのはわたしひとり

 

どこかに行きたいのに

あなたとの会話がない旅は

わたしを酷く億劫にする

 

 

あなたとの旅は

わたしにとって現在進行形

写真の中のあなたとわたしは

今を見つめる幸せな笑顔

 

どこにも行きたくない

あなたがいない旅は

なにも見えない聞こえない

 

 

あなたもわたしも幼少の頃は

体が強くありませんでした

大人になってだんだん丈夫になり

元気いっぱいの日々を過ごしていました

運命の出逢いがあり

あなたとわたしは手を握りました

握った手はふたりを幼子にし

幼少の頃に置き去りにしてしまったモノを

一緒にとりにいきました

あの頃にあの時にあの場所に

あなたの前にいたわたしは無邪気でした

わたしの前にいるあなたも無邪気でした

ふたりであの頃を過ごしていたのだと

写真のあなたが教えてくれました

置き去りにした無邪気は

いっしょにいる時だけ現れます

 

 

 

 

 

 

あなたの肩に頭を乗せ

ふたりの物語を聞いているのが

なによりも好きでした

 

あなたの手の温もりで

わたしは心地よく

ふんわりと漂っていました

 

あなたの口癖は

今が楽しければそれでいい

 

あなたが伝えてくれたこと

今やっとわかり始めています

 

 

 

 

 

 

泣いている時が好きです

 

あなたとの思い出を見つめれば

声にならない声で

目にはいっぱい涙をためて

大泣きしてしまいます

 

見つめなくても

笑うことはないのだから

泣いて辛くても

見つめ続けるのです

 

泣いている時

わたしはあなたとふたりっきり

 

あなたは幸せですか

わたしは幸せですか

 

考えたことなかった

 

いつもあなたは隣にいて

同じ風の中で

絶え間ないおしゃべりをしていた

 

なにを話していたのだろう

なにを笑っていたのだろう

 

思い出せないほど話し笑い

思い出せないほど幸せだった

 

喧嘩して

わたしはひとり部屋の中

 

携帯が繋がらないのは

いつからだろう

何時から

何日から

何年から

 

喧嘩したのはいつだったのか

仲直りしてご飯をいっしょに食べて

たくさん話してたくさん笑って

それはいつのことなのか

 

わたしはいつからひとりなのだろう

 

あなたがわたしの隣にいることが

当たり前とは思はなくとも

疑うことも信じることもなく

 

手を伸ばさなくても

あなたに触れることができる日々が

当たり前と思ったことはなく

幸せとか愛とか考えたこともなく

 

わざと泣きじゃくる音楽を聴き

わざと楽しかった日々を見つめ

わざと今を拒絶し続ける日々は

 

もうやめよう

もうやめなくっちゃ

わたしはやっぱり

あなたを探したい

 

わたしはぜったい

あなたを見つける

 

風に揺れる洗濯物が

あなたの不在を確かにする

 

ひとり乗る電車は

窓の外の風景を早送りにし

なにを見ているのかわからない

 

わたしが求めていたことは

そんな幸せだった

 

 

あなたといっしょに

たくさん美しい風景の中で

肩を並べ手を繋ぎ歩きました

 

あなたといっしょに

たくさん美味しい食事を

語り笑い食べました

 

わたしたち同じ魂

 

そういうことだったのだと

初めて気がついたのは

あなたを失った後でした

 

机の上に水滴がひとつ

またひとつ

またひとつ

右手と左手を合わせてみる

あなたと繋いだ手は

どちらが多いでしょう

きっと温かいほうですね

どちらも冷たくて

あなたの手の温かさを

忘れてしまったようです

 

暖かい晩秋の午後

あなたは昼寝から目覚め

よく寝たと言って

わたしの手を探すのでしょう

 

ここにいます

あなたの手の温かさを

思い出すために

 

 

わたしがあなたのことを想っていると

あなたはわたしから隠れるのかしら

最近はそんな気がしています

 

 

わたしがあなたのことを想うとき

あなたは口を閉ざしてしまうのかしら

そんなことが確信になってきています

 

わたしがあなたを求めると

あなたはうつむくのかしら

夢と現の狭間が消えています

 

これは詩でしょうか

それとも手紙でしょうか

どちらでもあり

どちらでもないのでしょう

 

 

わたしはでかけなくなりました

あなたがいないと

こんなにも出不精になるとは

自分でも驚いています

 

わたしはあまり笑わなくなりました

あなたがいないと

こんなにもつまらない日々だということに

自分でも呆然としています

 

たとえひとりではなくても

どこかに行くことは想像できず

なにかの面白さにも

ぎこちない笑みしかできなくなり

 

自分で自分が可笑しく

でも

涙も笑みも出ないまま

嬉しいと湧き立つ心は

楽しいと沸き出す心は

いったいどこに

いってしまったのだろう

嬉しい楽しいって

どんなことだったのか

それすらもわからなくなってしまった

あなたと共にいた笑うわたしを失い

あなたと共にいたはしゃぐわたしも失い

心の底から嬉しい楽しいを感じられなくなって

何年が過ぎたのだろう

でもね

あなた

わたしはほんの少し

あなたと共にいたわたしに

出逢っている気がしています

あなた

おかえりなさい

 

 

あなたのいない寂しさが

突然

たいしたことのないように感じた夕方

桜紅葉の並木道をかっぽしながら

あなたを追いかけ

あなたに追いつき

あなたの手を握る

漠然とはしているが

なにかがわたしの中にいる

確かにいる

確実にいる

いる

いる

 

あなたですね

どんなにあなたのことを想っても

毎日毎日あなたとの写真を見続けても

あなたは帰ってくることはないと

現実に触れているこの頃

いつから思えるようになったのか

いつから認めてきたのか

悲しみが強過ぎて

ひとりの寂しさに

疲れ始めているようです

 

わたしがあなたを探すのではなく

あなたがわたしを探しあて

 

ほらほら

 

わたしはあなたに会いたくて

どうしようもないのです

 

 

 

 

あなたはいつもそばにいる

そんなの嘘

いないじゃない

いるわけないじゃない

 

あなたの声が聴こえる

それも嘘

聴こえないじゃない

聴こえるわけないじゃない

 

そう思いたいだけ

そう思ってあなたを

感じているふりを

しているだけ

 

それはあなたではなくわたし

それはあなたの声ではなくわたしの声

 

だからあなたなのね

だからあなたの声なのね

 

やっぱり嘘

そう思いたいだけ

 

キミと

分かち合いたいことが

たくさんある

 

いつかのあなたの言葉を

そのままあなたに叫びます

 

アナタと

分かち合いたいことが

わたしがいるこの世界には

まだまだたくさんあります

 

ひとりで歩く道は

ゆっくりと静かです

 

可笑しなものですね

 

ゆっくりで静かなのに

なにも見えずなにも聞こえない

 

アナタの存在の大きさは

どんな風景もどんな音楽も

隠してしまうようです

 

泣きながら笑うのが

上手になりました

 

目からは涙が流れ落ち

口元はうっすらとほほ笑み

あなたの瞳を見つめています

 

あの日あの時スペインで

こんなにも穏やかな表情をしていたのだと

初めて気づきました

 

あなたの愛に

思う存分に抱かれていたわたしは

そのことに気づくことなく

あなたと共にほほ笑んでいました

 

涙はあなたの愛なのですか

 

 

表口から出るときも

裏口から出るときも

わたしにとって

あなたと共にいた時間だけが

確かな真実です

 

やっと気がつきました

その真実だけでいいのです

 

その真実だけを心にまとい

あなたがそうであったように

わたしは多くの人に

希望を届けにいきます

 

それはけっして幸せに満ち溢れた

笑いの世界ではないかもしれません

でも

それでいいのです

希望は静寂の中でこそ光るのです

 

 

 

 

あなたが抱いた夢と希望は

あなたがいなくなってしまったら

どこにいってしまったのでしょう

 

わたしはあなたと同じことはできないと

最近になってそのことがわかりました

 

わたしはあなたではないから

あなたならこうすると考えても

それはわたしが考えたことなんだと

最近になってそのこともわかりました

 

そんなことがわかりはじめたら

あなたはいろいろと

教えてくれるようになりました

 

今ははっきりわかります

これはあなたの夢と希望であり

わたしの生きる力

 

 

 

わたしはやっぱり

なにかをごまかしているのでしょう

 

ごまかしてごまかしてごまかし続けて

生きる力を得て生きる喜びに出逢い

ごまかしていることなど忘れて

ごまかしていることそのことも

自分の人生の輝きなのだと

ごまかしていたのかも知れない

 

あなたがいなくなってしまったことをごまかし

あなたはいると思い込んで

元気よく挨拶をしほほ笑んでいる

あなたと歩いた

名もない小さな道

遠い国のその道は

天高く花が咲き乱れ

柔らかい光が輝いていた

あなたとわたしだけしかいない

細く長い石の道

道もわたしたちも

世界から忘れ去られ

静寂の中に

ふたりだけの笑い声が

誇らしげに響いていた

手を繋ぎ歩く道は

いつまでもどこまでも

続いているのだと

今も思い続けています

 

それで

いいですよね

あなた

 

 

 

どこにいても

なにをしても

満たされぬ心

 

それでも

孤独でも

楽しまなければと思う

 

無理してるよね

無理なんだよね

 

時は進むけど

過去の中でしか生きられない

 

わたしにとっての真実は

あなたと共にいた時間だけ

あなたと一緒に行った場所に

行きたくないと思っていても

そこにいくことになるのは

なぜ

 

あなたと一緒に食事をした店に

行きたくないと思っているのに

そこを思い浮かべるのは

なぜ

 

そんなの当たり前なのだろう

あなたと共に歩んだ関心ごとは

今も変わるはずはないのだから

 

避ける必要はない

行け

行け

行ってもいい

行くんだ

 

行けばきっと

たいしたことではないことに

気づくはず

あなたが好きだったナポリタンのある店

明日7年ぶりに行きます

怖くて行けなかった地や店に

これからは行ってみようと思います

無理矢理にでも

わざとでも

勇気を振り絞って

理由を見つけている日々は

そろそろやめにします

理由などないのです

でも

理由はただひとつあることを

わたしのたましいだけが知っています

あなたがいないということを

目の当たりに突きつけられることを

見たくないだけなのです

きっと

多分

それもそろそろやめにします

 

 

 

 

数えきれないほど食べた

あの店のアサリジンジャースパゲティ

数えきれないほど通った

東京駅八重洲北口にある新幹線の改札口

 

あの日お互いの思い違いで

東京駅の中を

お互いがお互いを探していた

 

やっと逢えた時

こういう思い違いが怖いと

安心の中で話した

 

わたしは

なにか思い違いを

しているのでしょうか

 

あなたに

なかなか

逢うことができません

 

慣れ親しんだものが

すべてなくなってしまった事に

時が慣れさせてくれると思っていた

 

慣れないものだ

忘れることだ

温かい過去を

 

忘れたふりをして

友と笑いあう

 

笑っている時はいいが

ひとりになった時

ごまかしの重さに

押しつぶされる

 

すべては滑稽だ

 

 

現実と非現実の境

存在しているかのような世界

どちらにしても興味がない

 

あなたがいるかいないか

大切なことはそれだけ

 

無機質なビル街だろうが

自然豊かなところであろうが

孤独であることには変わりない

 

街にある窓も

村にある窓も

すべて閉まっている

 

今日も雨

 

どこかで窓の開く音がする

あなたは目覚め

わたしの元へと走ってる

 

 

悲しさは時が解決するだろう

 

8年は必要と友は言う

 

懐かしむ過去は

いつの間にか

見知らぬ過去になり

そこにいたあなたとわたしは

いつからか

見知らぬ男と女になり

時の優しさをわからぬまま

時は残酷だと叫ぶ

 

友は悲しみに救われないほど溺れ

寂しさには打ち勝っていたのだろう

 

8年経った

涙の温度が変わり

寂しさは時が経つほど深くなる

 

 

 

 

 

あなたとわたし

無邪気な仕草

互いに愛おしく

互いに親しく

そんなふたりが出逢い

旅を続けた日々

 

暮らしとは

なんと美しい響きなのだろう

 

あなたが差し出すご馳走の味

わたしに染み付いている味

 

涙とともに

その味を忘れたいけれど

他のものを食べると

こころが疲れます

 

 

あなたと共に在る世界がある

わたしはその世界で生きている

 

ひとりでいたあの頃

あなたと出逢いふたりになった

ふたりはなにをするのもいっしょ

 

でもあなたは

いっしょの意味が違うなと言っていた

わたしはなかなか答えが出せなかった

 

あなたが言ういっしょがわかりました

 

いっしょはたましいの重なり

いっしょはふたりでひとり

 

わかっていても

もうやめようと思っていても

 

あなたはどこにいるのですか

あなたはいつ帰ってくるのですか

わたしたちの暮らしは

どこにいってしまったのですか

 

置き去りにされてしまったような雲が

静かに聞いてくれました

 

今日の夕飯は

あなたの好きな焼うどんです

 

 

特別なことなどなく

繰り返される毎日

 

なんて美しい暮らし

なんて輝く笑顔

 

ただただ

あなたがわたしの隣にいる

 

ただただそれだけで

なんて弾ける時の重なりだったのだろう

 

わたしはそのことをしっかり抱いて

日々過ごしていたのだろう

 

あなたのいないこの世界で

 

 

 

 

今日は雨

やさしい人

何処に

 

明日は晴

用意したお土産は

バックの中

 

早朝の電車に乗り

それぞれの今日の顔

 

世界には

様々な色がある

 

今日の風は

もうすぐ穏やかに

 

明日の風の輝きを

袋につめて

 

あなたとの思い出が強すぎて

行けなかった場所に

少しずつ行き始めています

 

意識的にではなく

そのような流れが

訪れ始めまたようです

 

迷うことなく

後ずさりすることなく

向かいます

 

 

大きく変化したことは

その場所であの日を探しても

泣かなくなりました

 

なぜでしょう

 

思い出はさらに濃い色になり

あの頃にしか真実はないと

わかり始めてしまったからです

 

 

 

あなたがいないということに

わたしは慣れることはないのでしょう

きっと

 

あなたがいないということと

わたしは共に過ごしていくのでしょう

きっと

 

それでいいのです

 

あなたと過ごした時の繋がりが

いまのわたしを育ててくれています

きっと

 

あなたは不思議に思うでしょうね

こんなわたしを

きっと

 

小さい箱に入り

あなたとの思い出だけで

暮らしていけるでしょうか

 

かぎりなく静かであり

とてつもなく温かい

その小さな箱の中

 

がんばってほほ笑むことに

なんだか疲れはじめています

 

どこに行けば安心して

ゆっくり眠れるのでしょう

 

今日の夢も夢の中

 

あなたとわたしの周りには

いつも楽しいことが

散りばめられていた

 

白鷺は能を舞い

鴨は陽を浴び輝く羽を見せ

紅葉は池の中で音楽を奏でる

 

いつもは

眩いほどの豊かさで

あなたとわたしを包んでいてくれた

 

気がつかなかった

そんなことあんなこと

気がつかなかった

一番大切なことを

溢れ出す言葉を

ずっとずっと

しまいこんでいた

 

あなたへの想いを言葉にしても

ただの独りよがりなことだと思っていた

 

なにに臆病になっていたのだろう

 

すべてはわたしが話すわたしのこと

すべてはわたしが語るあなたのこと

 

すべてはあなたと共にあった時の繋がり

すべてはあなたと共にあった暮らし

 

やっとわかった

 

わたしが語れば

あなたはほほ笑む

 

もうわたしはお腹いっぱい

 

色々な国に行き

色々な街に行き

色々な村に行き

色々な橋を渡り

色々な道を歩き

色々な天気を浴び

色々な静寂を浴び

色々な朝陽を見つめ

色々な夕陽を見つめ

色々な雲海を見つめ

色々なホテルを味わい

色々な食べ物を味わい

 

 

それはいつも一緒だった

 

 

あなたと美しく暮らしたあの街に

行ってみようかな

あなたと手をとり行った植物園に

行ってみようかな

あなたと笑って食べた鰻屋さんに

行ってみようかな

 

思い描いただけでも

涙が溢れてくるうちは

まだまだ

行けそうにもありません

 

なぜ行ってみようかなって思うのかしら

 

あなたとの再会

あなたと共に

わたしの祈り

 

あなたがいなくなって

気がついたことの

なんと多いことか

その多さに呆れるほどです

 

あなたの漆黒の瞳が大好きで

ただただ笑う目元を見つめ

安らぎに包まれていました

 

幸せは

大げさなものではなく

ひっそりと静かに

共にいてくれるものなのだと

共にいないあなたが教えてくれました

 

最近の出来事です

 

あなたとの旅の写真を見つめていたら

ある日あなたと出逢い

この世界で刻を共に刻んでいた

あの日あの時あの場所で

 

県境を越え

国境を越え

美しく豊かで楽しい暮らしが

そこにあった

 

わたしは感謝もせず疑いもせず

あなたの隣でほほ笑んでいた

 

手を繋ぎ

目を輝かせ

たわいもないことを喋り続けた

あの暮らしに戻りたい

 

 

 

 

期待しているのです

あなたが語りかけてくれことを

待っているのです

あなたが現れることを

 

叶う出来事と信じて

すぐそこにその時が近づいている

 

あなたの最初の一言はなんでしょう

わたしは抱きつきながら

 

おかえりなさい

 

あなたのいないこの世界で

わたしはいったいなにをしているのでしょう

実のことを言うと

今のわたしは関心や興味を抱くものは

なにひとつないのです

関心があるふりをしているだけ

興味があるそぶりを見せているだけ

自分でもそうだと勘違いしているだけ

わかっていても

今日も明日も明後日も

そんなわたしがいるのでしょう

 

仲のいい雀を追い払う

嫌なわたし

イライラしていた

あっちへいけと思った

すぐに後悔した

なんてことをしてしまったのか

ごめんね

ごめんね

雀はすぐに遊びに来てくれた

嬉しくて涙が出た

ありがとう

ありがとう

あなたと一緒に雀と遊んだあの頃

楽しかったね

 

 

目に見える風景の中にも

目に見えない風景の中にも

あなたはいつもいてくれます

あの頃のように

私の隣でほほ笑んでいます

こころもたましいも

やっと整いました

動きません

動かされません

自分で動きます

 

 

あなたはいないけど

あなたの隣でほほ笑んでいた

わたしもいない

 

あなたがいないということは

あなたとの暮らしもなくなり

あなたと見ていた風景も

なくなってしまった

 

ふたりで撮った写真と同じ場所で

もしもひとりで撮ったとしても

すでにあの時の風景は現れない

 

わたしは想い出の世界で

ずっと生きてきた

 

出よう

ここから

 

あなたと共に

輝く世界へと旅を続けていた

イタリア、ポルトガル、チェコなど

ヨーロッパへの旅

沖縄、奈良、和歌山など国内の旅

長野、山形、北海道などスキーの旅

現実の旅は輝く世界だった

そして

何気ない日常もまた

輝く世界への旅だった

暮らしそのものが

輝く世界への旅行記を綴っていた

 

もう一度初めから

あなたと共に風景を見つめ

もう一度初めから

あなたと共に言葉を紡ごう

 

なにかを引きずることもなく

なにかに縛られることもなく

湧き出す風を捕まえよう

 

キミはキミを信じろと

あなたが教え続けてくれている

その言葉を信じて

 

見過ごしそうな光の煌めき

今の光を与えられ

静かに今に輝く

池に浮かぶ枯れ葉の姿

 

暮らしの中には

見過ごしそうな風景の中に

真のカタチで輝いているものの

なんと多いことか

 

あなたがわたしの目の前で

午後の紅茶を飲みおせんべを食べながら

止まることなく話し続けるその姿は

どんな光よりも

わたしに向かって光を与え続けていてくれた

 

今は目の前にいないけれど

その光を感じ続けている

いつもはこうしてた

いつもはこう考えてた

いつもはこれを用意してた

いつもをやめよう

 

いつものあなたの笑顔

いつものあなたの話し声

いつものあなたの温かさ

いつもがなくなった

 

慣れ親しんでいた

いつもを

なるべく忘れよう

 

そうしているうちに

新しい私たちになれる

 

 

 

輝く世界に

すでにいるんだ

希望に満ち溢れた世界で

すでに動いているんだ

 

鏡をみてごらん

キミの瞳は  

愛を写しだしている

 

 

 

輝く笑顔の

なんと愛情深いことだろう

 

光は笑う

キミも笑う

 

 

黄金色の道は
すべてに輝きを放って
わたしたちに
希望の時の重なりを
与え続けてくれる

なにかを引きずることもなく

なにかに縛られることもなく

湧き出す風を捕まえよう

 

キミはキミを信じろと

伝え続けてくれている

その言葉を信じて

無意識が
待ち続けた歓びは
ある日 
突然に訪れ
わたしたちに
希望の日を
与えてくれる
顔をゆっくりと洗う
手の中からこぼれ落ちる水は
今日の希望を歌う
顔を拭いたタオルが
物干し竿で揺れている

 

 

見つめ合い

手を繋ぎ

歌を口ずさみ

立ち止まり

煌めく瞳

手を叩き

愛を語らう

 

 

静けさをもってひろがる
孤独な親切心は
世界の風にのって
おおいなる希望となる

 

 

扉が閉まっている
中に入れない
落胆する影
別の扉から
アナタが現れる
間にあえばいいんだよ

 

軽やかな葉ずれの音
歓びは哀しみを愛撫し
情愛の深い希望が
静けさをもって立ちあがる
朝になっても
ほんのりと温かい
湯たんぽの中のお湯
ちょうどいい湯加減
ちょうどいいは宝
バケツの中に
湯たんぽのお湯
手から身心に
優しさが流れていく
今日の雑巾がけも
気のむくままに
愛するままに

 

ひとりで空を見つめると
ふたりの影になり
大勢の笑い声が聞こえ
たちまち皆が幸せな
世界が出来る
ひとりで見つめる空には
孤独を希望に変える
気高い愛がある

 

 

語りあえる愛おしさ
古からの
たましいの繋がり
言葉の前にある真実は
言葉の奥で出番を待っている

 

ゆっくりと
昨日の衣を脱ぎ
裏返して
今日の衣に早変わり 
衣からこぼれ落ちる
昨日の夢は
今日の夢と重なり
明日の衣を縫いはじめる

 

無邪気な欲求がうごめき
心にうずくまっていた愛情が
一挙に放散する
静寂の中に
誇らしげに響く音
ただ在る美しさが
輝きはじめる
その時に
その場所で
胸に秘そむ淋しさは
行動へと駆り立てる
風景にノックし
内に豊かさを見出すその時
美しい沈黙が語りはじめる

 

 

 

勇気をいただいた言葉は
特別なカタチなどしていない
ただその人の真実が
真っ直ぐ礼儀正しく
わたしだけに向けられていた

 

 

頬を通り過ぎるやさしい風と
頬の前に立ち止まる美しい影
閉じ込めたい世界がある
開きたい扉がある
手をのばそう
扉は押せば開く
知らずに迷い込んだとき
溢れ出した涙は
輝く希望の案内役として
キミの前に現れている

 

 

美しい今も
美しい想い出も
すべては
キミの温かさ
ひと休みしたね
美しき暮らしへ
美しき日常へ
すべては
キミの深い愛

 

 

深い音が響く
あたりをいっそう
静寂の世界にするため
息をこらす
遠く遠くに響く
神秘な奥深いところで
優美で素直なモノたちが
愛するモノに呼びかける

 

濡れている樹木の枝
振い落ちるたくさんの雫
ひとつひとつに
閉じ込められている
驚くべき物語は開かれ
希望の風を舟として
世界を旅する

 

無数に控えめな愛が
光の中で踊っている
おはよう
おやすみ
暮らしは美しい
世界の風の中で
純朴な挨拶を抱きとる

 

 

 

気持ちを静観し
過去を掴みとり
心を置き去りにして
掴みとった過去を
置き去りにする
光に肩をたたかれ 
忘れ物ですよ
いりません

 

 

 

静寂を浴びる
飽きるほど浴びる
これでもかと浴びる
浴びる
浴びる
浴び続ける
思い出せないほどの幸せが
コロコロと遊びはじめる

 

 

 

もういちど初めから

あなたと共に風景を見つめ

もういちど初めから

あなたと共に時を紡ごう

 

なにかを引きずることもなく

なにかに縛られることもなく

湧き出す無を捕まえよう

 

キミはキミを信じろと

あなたが教え続けてくれている

その言葉を信じて

 

 

 

塗り絵のような日は

張りつめた静寂がある

頬染める灯は

楽しい夢でも

見ているかのようだ

そろそろ陽がのぼる

塗り絵は

新しい夜明けを告げ

自由になっていく

無邪気な仕草
愛おしく
親しく
差し出されるご馳走の味
わたしに染みついている味

その味を忘れたいけれど
他のものを食べると
こころが隠れます

アナタと
分かち合いたいことが
わたしがいるこの世界には
まだまだたくさんあります

可笑しなものです

ひとりで歩く道は
ゆっくりと静かです

静かに扉をたたいた
静かに呼んでもみた
ひとつの言葉も
浮遊することなく
ひとつの音も
もれなかった

すっかり
自分のうちに
閉じこめていた

右耳が好むカップの音
左耳が好むスプーンの音

ほのかに香る律動の音に
目を閉じ身を任せる

アナタが
教えてくれたこと
そのまま
ワタシのカタチに
なっています

アナタが
伝えてくれたこと
そのまま
ワタシのスガタに
なっています
 
アナタが
ワタシを見つめる
温かい眼差し
そのまま
ワタシの眼差しに
なっています

 

 

右を向けば
アナタが笑う

左を向けば
アナタが笑う

そんな瞬間を
ヒトは
しあわせと
名づけた

ナタと
手を繋ぎ
晴れの日
ちいさな
緑の道を
あるいた

ただただ
それだけ

晴れの日
ただただ
嬉しい日

控えめに
光っていた
遠慮がちに
風に揺れていた

立ち止まり
正直に眺めた

アナタの優しさが
カタチになっていた

キミの笑顔は
世界を変える

アナタの言葉を
正直になって
信じる朝

すべては
ちょうどよく
動いていく

恋しい香りが
ゆらゆらと
漂う世界で
ワタシは
電車に乗り
4駅で降り
長い通路を歩き
また
電車に乗り
目的地で降り
階段で地上に出て
日傘をさす
晴れた梅雨の日

しみを
通り過ぎた
寂しさは
涙が
ほんのり
あたたかい

それだけ
悲しみが
深くなり

それだけ
寂しさが
静けさになり

それだけ
幸福もわからず

それだけ
幸福の中にいた

朝も昼も夜も
アナタと一緒に
過ぎ去った日々を
旅しています

それは
過去というのです

でも
ワタシには
未来のような
すぐそこに
アナタが
いるような

それでいいんだよ

愉快な
偶然の出来事
不思議な
時の流れ

そんなことに
出逢うたびに
アナタ手作りの
スパイスを味わう

いつも美味しい
いつも愛情深い

アナタの光は
一度たりとも
ワタシから
離れたことは
ありません

雀がさえずっている
親切な街の小さな店
アナタの好きな珈琲を
今日も飲んでいる

目の前の動画は
手を伸ばせば
素早く消え
店内の音楽が
ワタシの手の中で
正座する

カップの中には
気前よく  
アナタの言葉が
浮いている

幸福の中にいる時は
幸福の温度は 
わからず

暮らしの中にいる時は
暮らしの湿度は
わからず

笑いもすれば
ふくれたりもして

肩を揉めば
足を踏んだりもして

いつもいっしょの
麗しき生活は
ふたりだからこその
正しい光

キミにとっての
真実は
あの時の
かけがえのない
煌めく時の繋がりの
中にしかないことに
あの坂の上で
キミは気づいた

それは
きっと
素敵なことなんだ

真実は
ふたりの中にしか
ないんだ

その真実を
上着にして
キミはキミで
いればいい

どこにいても
キミはキミと共にいた
風景になり

誰の顔を見ていても
キミはキミの顔になり

ココロ響く
出来事に出逢うと
キミはキミのやさしさに
深く抱かれる

キミは
いつだって
大丈夫

キミは
いつだって
キミを信じればいい

キミは
いつだって
笑っていればいい

キミは
そこに
行けばいい

キミの
想いに
従えばいい

キミの
明日は
ちゃんと動く

香り放つほど
我慢していた

何年も
深海にいた

我慢の香りの先には
なんと美しく輝く
アノヒトの真心

その光は
深海にまで到達し
内側から
安らぎと誇りに
満たされた 

光が蘇る

夢中になることは

アナタとの写真を見つめ

アナタの言葉に触れ

アナタとの時の中で

戯れること

 

夢中になっている

その中でも

やっぱりなにかを

見つけようとしている

 

ああ そうか

ああ これだ

 

幸せなど

考えたことないほど

幸せだった

 

幸せの中に

通り過ぎたその中に

今を

見つけようとしている

振り向く風に

丁寧に会釈する

どこにいくのでしょう

 

おまかせします

 

今頃はアノヒトは

食事中でしょう

 

邪魔をしては

いけません

 

名もない道を歩き

名もない花を愛で

名もない雲の行方を

見つめましょう

 

そろそろ

いい時間です

 

アノヒトを尋ねに

いきましょう

 

大丈夫

 

すでに約束しています

一筋の風が吹く

アノヒト

トンボが目の前を

飛んでいく

アノヒト

やけに懐く雀がいる

アノヒト

 

アノヒト

アノヒト

 

へんなカオしている

 

アノヒト 笑ったよ

アノヒトのやさしさが

ふってくる

 

面白かった

楽しかった

 

今度はいつ

いつかまた

 

いつはいつ

またはいつ

 

目覚めれば

その日がね

 

ほら目の前

笑ってるよ

 

今も笑ってるよ

鏡みて笑ってるよ

 

家の中を歩きながら

笑ってるよ

ご飯食べ終わって

笑ってるよ

 

どんな時でも

笑ってるよ

 

笑ってるよ

笑ってるよ

 

アナタとの約束

笑ってるよ

 

笑ってるよ

 

あなたが座っている

全身で振り返った

 

気のせい

 

ゆっくり歩いて 

背もたれに手をかけ

少しだけ座ってみた

 

風の中にある

あなたの声が

わたしの指先に

とまった

セロテープで なにを貼りましょう ホチキスで なにを閉じましょう 定規で なにを測りましょう 想い出を 貼るのはやめます 言葉を 閉じるのはやめます 縮まらない距離を 測るのはやめます 丸出しの顔のまま ゴミを捨てにいきます 明日は 燃えないゴミの日 今夜は 泣いていい日です